桜、月夜、愛おもい。



凜桜はそれを見ると微笑んで、私の方へ振り返った。


「何言ったの?」


気になってそう聞く。

ちらっと美樹ちゃんを見ると、じっと、倒れた桜の木を見つめていた。

その瞳は強く、いつもの幼さなんて微塵も感じさせない。むしろ、同じ年頃の子達よりも、ずっと大人っぽい。


再び凛桜に視線を向け、さっきの質問の答えを促すように見やる。

凛桜は一瞬考えるような仕草をみせ、すぐに微笑むと言った。


「気付いても言っちゃダメって」

「気付く?」