もう一度美樹ちゃんを見れば、今度は私をじっと見つめている。
と、目が合った途端、なぜか思いきり逸らして下を向いた。
薄く開いた唇からは、何か言葉が発せられているけどよくは聞き取れない。
「そんな…まさか………少しは…………でも…」
かろうじて耳に届いた言葉達は、まったく意味の分からないものばかりで私は首を傾げた。
「美樹ちゃん」
凜桜が美樹ちゃんを呼んだ。
美樹ちゃんは、一瞬固まったように見えたけど、すぐにいつもの調子で「なぁに〜?」と返事する
凜桜は美樹ちゃんに近付いて、彼女の耳に唇を寄せた。
そして何かを囁くと、少し離れて目線を合わせて「分かった?」と尋ねる。
美樹ちゃんはこくんと首を縦に振った。


