桜、月夜、愛おもい。



実は、本当は、美樹ちゃんに大丈夫かと聞かれた時、私は全然大丈夫じゃなかった。

すごく不安だった。


もし凜桜がいなかったらどうしよう。って。


だから、凜桜を見た瞬間、泣いてしまいそうになったの。

愛しさとか、安心とか、嬉しさとか、そんなもので胸がいっぱいになってしまったから。



「奈津」


ふと呼ばれた声に顔を上げれば、綺麗に微笑む凜桜。

今日はいつもの白いシャツに黒いパンツじゃなくて、どこから手に入れたのかその辺の男の人が着てるような服だ。


それがすごく似合ってて、かっこよくて、つい見とれてしまう。



「奈津ー?さっきから、何ぼぉっとしてるの?」

「あ…ご、ごめん」


少し屈んで私と目の高さを合わせ、怪訝そうな顔で尋ねてくる凜桜に私は慌てて謝る。

っていうか、質問の答えにはなっていないのだけれど。