桜、月夜、愛おもい。




「わぁっ!キレー!」


先に歩いて行っていた美樹ちゃんが、水溜まりを覗き込んで楽しそうに言った。


見ると、道路に点々と水溜まりが出来ていて、それが光を不規則に反射させて煌めいている。

それを少し眩しく感じて、私は目を細めた。


数秒そうしてから、私達は歩きだした。


まず、凜桜を迎えに公園に向かう。

美樹ちゃんは何も聞かずない、楽しそうについて来た。

ただ一度だけ、心配そうに「大丈夫?」と聞いた。

私はそれに、不自然にならないように頑張って、「大丈夫だよ」と返した。



公園に着くと、凜桜がブランコで揺られ待っていた。

私は思わず走り寄る。


「凜桜!」


わざと大きな声を出したのは、いろんな感情が入り交じって涙が出そうだったのを隠すため。