桜、月夜、愛おもい。



「特にこの子は、他の猫と比べると頭いいから、ちゃんと返事も出来るの。ただ無愛想なのがちょっとね~」


無愛想って…。

確かに、ちょっと態度悪くて可愛くないけど。


「この子、名前は?」

「ユイくんだよ。可愛い名前でしょ」

「オス?」

「うんっ!ちゃんと彼女もいるんだから」


美樹ちゃんが言うと、猫もといユイくんは尻尾を微かに揺らした。


「ユイくんが照れてるー!可愛いーっ!」

「…ナーッ」


キャアキャアと笑う美樹ちゃんに、ユイくんは小さく鳴いた。

それが何だか本当に照れてるみたいで、すごく可愛い。


「じゃあ、私もう行くからね。ばいばいユイくん」


美樹ちゃんは、ユイくんの頭をポンと優しく叩いてそう言うと立ち上がった。

私も少し遅れて立ち上がり、ユイくんに手を振って門の外に出た。

門を閉めようと振り返ると、ユイくんの側に可愛らしいキジ猫がすり寄っていた。