桜、月夜、愛おもい。



私が小さく、聞き逃してもおかしくないくらい小さく、「いいよ」と言えば、美樹ちゃんはぱぁっと効果音が付きそうなくらい顔を輝かせた。

大きな瞳には、大粒の星屑が煌めいているように見える。


その攻撃に思わず倒れてしまいそうになったけど、私はすんでの所で堪えた。



「お兄ちゃんっ!奈津お姉ちゃん、明日一緒にいてくれるって!二人でデート出来るよ!」


美樹ちゃんは大きな声でそう言うと、先輩の方へ走った。


「奈津ちゃん、本当にいいの?こんな勝手な我儘聞いてもらって」

「全然いいですよ。分かってますから」


珍しく申し訳なさそうに言う先輩に、にっこりと微笑んでみせる。

先輩は「ありがとう」と言うと、咲菜の方に行った。