桜、月夜、愛おもい。



うわ…。

殺人的笑みだ。

これ使えば世界中の半分の人は虜に出来る。


美樹ちゃんの顔を見て、私はそう思った。



「ほら!やっぱり苦いって!」

「ちょっとくらい苦い方が、カフェオレは美味しいの」


美樹ちゃんの言葉で、先輩と咲菜はまた話し始める。


カフェオレのことを延々と、よく飽きないな。



「ねっ、奈津もだよね」


急に話を振られて、私は反応が遅れた。

「何?」と首を傾げると、咲菜は眉を寄せ言う。


「だから、カフェオレは甘すぎると気持ち悪くなるよね?」

「うん」


咲菜の問いに私は即答。

すると咲菜は得意そうに先輩に向き直った。


「ほら、奈津だってああ言ってるし。これからはあまり砂糖を入れすぎないようにして下さいね?」

「………」

「先輩?」

「は、はい…」


咲菜のトーンの下がった声に肩を揺らし、先輩は渋々頷いた。