桜、月夜、愛おもい。



途端に美樹ちゃんは、ぱぁっと神々しいほどの笑顔を作り、先輩に駆け寄った。


「カフェオレ出来たよ。飲むだろ?」


先輩が言うと、「うんっ」と大きく頷いて、美樹ちゃんは椅子に座る。

その前には、未だ温かそうな湯気を立ち上ぼらせるカップがあった。


「ちょっと苦いかもしれないけど…」


不安そうに言う先輩。


だけど私には、全く苦そうに見えなかった。

むしろ甘すぎるんじゃないかと思った。



「砂糖三杯も入れたんだから、苦いわけないよ」


咲菜が美樹ちゃんに微笑む。

美樹ちゃんはカップを手に取った。


両手でカップを包んで、ゆっくり口へ持っていく。

そして、先輩と咲菜が見守る中、カフェオレを可愛らしい仕草で飲んだ。


二人は、美樹ちゃんの言葉をジッと待った。



「ちょっと苦いけど、とっても美味しい」