桜、月夜、愛おもい。



でも今は、それに感激している場合じゃない。


私は部屋に飛び込んだ。



「何で勝手に許可出してるのよ!来ちゃうじゃない!」


慌てて服を着替える。

桜の木に近付いて、少し濡れていたからだ。


「会いたかったから」


咲菜は楽しそうに言う。



そんなの私が知るか!



溜め息をついて、Tシャツとジーパンを着る。

寒くないように、上からパーカーを着た。


その瞬間、待ってましたと言うかのように、チャイムの軽い音が家中に鳴り響いた。

思わず肩が跳ね上がる。


「私が開けて来る」


咲菜は嬉しそうに部屋を出て、下へと駆け降りて行った。