父親は「お前が幸せになるためだ」と言いながら、アタシの人生のレールを敷いた。


 進路を決める時期である17歳の春、父親は「お前は大学に行って、企業で3年程働いた後、結婚して家庭に入ればいい」そんなことを言ってのけた。


 もちろん反抗した。その時、アタシには美容師になりたいという願望があったからだ。自らの手で沢山の人を綺麗にしていく、そんな仕事に憧れた。


 でもそんな願望は、


「バカらしい」


 その一言で掻き消されてしまった。