こんなに優しくされたら、あたしは優真君の特別なんだって勘違いしちゃいそう。
そんなこと、絶対にないのに…。
優真君にとって、あたしは元カノ。
よりを戻すことなんてないんだ…。
考えていたら悲しくなった。
あたしの恋は、叶うことなんてない…。
そんなのいやだ。
だけど…どうしたら優真君が振り向いてくれるのかわからない。
どうしたら…記憶を戻せるのかも、わからない。
わからないことが多いよ…。
『舞』
って呼んでくれる優真君が、いつあたしの前から消えるのかがわからなくて。
この関係も、いつ崩れるのか…わからない。
『舞』って呼ばれるたびに、うれしくなる。
『舞』って言われるたびに、悲しくなる。
優真君の心は、今どこにあるの―――??
「舞」
「舞??」
はっとした。
あ、今優真君と下校中なんだった…。
「舞??」
優真君が心配そうに名前を呼んでいる。
「あ…な、何??」
「大丈夫か?反応なかったけど…具合悪い?」
「大丈夫…ちょっと考え事してただけ。」
「そっか…。」
「………………。」
「………………で、何があったんだ?」
「え?なにが??」
あたしは優真君の質問の意味がわからなくてキョトン、としてしまう。
「…だから。屋上で何があったんだよ。」
「………あぁ。」
そういえば、あたし殴られたんだっけ。
すっかり忘れてたよ…。
