記憶を失くした舞は、オレにいつも笑顔を向けてくれる。
だが、舞が記憶を取り戻したら、オレたちの関係はどうなるんだろうか。
舞はオレのことを避けるかもしれない。
今はまだ、元カレということしか話されていないが。
オレからフッたことを知らないんだろうな…。
舞のことを考えると、罪悪感が残る。
なんでオレは舞をフッたんだろう。
そうしたら、舞がこんなことになるはずなんてなかったのに…。
舞とずっと付き合っていたら、今ごろはどうしていたんだろうな。
幸せか…。
それとも、もっと舞を傷つけていたのか。
今更こんなことを考えたって、もう過去はやり直せない。
今、どーやったら舞を幸せにできるんだろうか…
オレが側にいて、舞のことを幸せにできるのか?
「…ん。」
突然、しんとした空間に声が響く。
オレはちらりと舞のほうを見ると、舞がゆっくり目を開けた。
「…舞、大丈夫か??」
「あ、れ。優真君…。」
舞はまだ寝起きでぼーっとしているのか、少し上の空だった。
そして、だんだん意識がはっきりしてきたのか。
「…痛っ」
痛みが襲ってきたようだ。
「大丈夫か?」
「…うん。」
オレが声をかけると少し引きつった笑みを見せる舞。
「…いや、全然大丈夫じゃねぇだろ。」
「…なんであたし、ここにいるの?」
「オレが運んだ。」
「あ、ありがと…って昨日もだよね」
「そうだな。お前事故に遭いすぎ。」
「すいません…。」
とりあえず、元気そうでよかったな。
