「先、戻るね」


スカートに付いた草を払いながら立ち上がると、私を見上げる悠里くんと目が合った。


「へんたーい」

「那岐の下着見ても嬉しくないよ」

「……どういう意味、それ」

「なーんかさ、」


起き上がる様まで綺麗な彼。

不覚にも見とれてしまったその隙に、悠里くんが私の腕を捕らえた。


「最近、避けてない?那岐、」


探るような視線に、私は意味が分からないと言うように笑って見せた。


「嘘」

「なにが?」

「なんで避けるの」

「なんのこと、」


腕を掴む手に力が籠もる。


悠里くんにはなんでもお見通しなのだ。バカな私の隠し事なんて、なんなくバレてしまう。


「那岐、」


瞳にあった強い光がフッと悲しそうに歪んだ。私がこの表情に弱いのも、もちろん、彼は知っている。