あなたの腕まで、あと何センチ?


それから、私は散々だった。

グラスは割ってしまうし、オーダーを間違うし、調理時間を誤ってるし、なので裏方に回された。

自分でも、こんなに動揺するなんて思わなかった。

タッパーに、サンドイッチの具材を並べていく。ハムを軽く半分に折りずらして重ねていく地味な作業。

…コンッ!

『きゃっ。』

梨華先輩が、トレーで軽く叩いてきた。

『何かあった?』

『…えっ?』

『だって、顔に困った~って書いてるもん。』

『そんな事ないですよ。たまたま、ですよ。』

『ふーん、ならいいけど。』

意味ありげな顔をしながら、ニヤニヤされた。

見透かされてる!?

違うよねっ!?

『なんもないですよ。梨華先輩、考えすぎです。』

『まっ、今日は、飲ませるから~楽しみにしててね~』

と、梨華先輩はニヤニヤしながら休憩室に入っていった。