「誰がチビだ!」

「バーカ、お前以外誰がいんだよ。つーか美憂離せ、俺の。」

遼と大ちゃんの口喧嘩が始まる。

いつも止める係の槙も、今日ばっかりは、笑いながら見ていた。

「お前ら、こんな日までよくやるよな」

「外見は変わっても、中身はそのままだな。」

海斗が、涙を目に溜ながら言った。

……泣きそうなの?


「何なんだよお前!泣くならなけよ、目ウルウルしすぎだっつーの!」

海斗の背後から、聞き覚えのある声がした。

「あっ、斉藤君!」

「はぁー……美憂、それ癖? 俺もう斉藤君じゃないんだけどー」

あ、そうだ。斉藤君は、もう斉藤君じゃなくなったんだった。

「ごめんごめん、神岡光紀君。」

大ちゃんのお父さんとお母さんは、今年の2月のはじめに、再婚した。

だから、大ちゃんと光紀君は完璧な兄弟、ということになる。


「ちょっ、光紀!置いて行くんじゃねぇよっ」

そして、少し遅れて光紀君の友達の慶太君の登場だ。今は、2人で大ちゃんの跡を継いで、龍泉を引っ張っている。


光紀君が総長で、慶太君が副総長。

2人共留年したから、大ちゃんたちにとっては、都合が良かったみたい。