安田慶太って人は、いまだに校庭で、不良達に追いかけられている。

「俺ちょっと慶太助けに行ってくるわ(笑)」

「ついでにあの不良ども追っ払ってこいよ。」

遼が言うと、前を向いたまま右手を振って出て行った。

「光紀って友達いたんだな。」

「友達ぐらいいるでしょ。」

あたしもたまに斉藤君が友達と鬼ごっこしてるとこ見たことあるし。


「あいつは何考えてるか分かんねぇからなー。」

まぁ確かに、わかんないとこはある気がする。


そんなことを思っていると、校庭からの怒鳴り声がさらに大きくなった。

安田君は、そろそろ体力が限界みたいで、走るスピードが緩まってきた。

きっとここに着くまでにもずーっと走ってたんだろうなー……


「あ、光紀だ。」

海斗が玄関の方を指差した。

「笑ってるじゃん…」

柚ちゃんが続けて言った。