-遼side-

「おいおい、お前大丈夫かよ?」

「大丈夫じゃねー…」

「相当だな。何お前、そろそろ末期?」

「………そうかも。」

火照った顔を、自分の手で仰いで冷ます。


「何あの子、いつの間にあんなに可愛くなったの!?」

「お前オッサンみたいだぜ。」

「おう、もう何でもいいわ。」

呆れる槙をよそに、美憂の方をチラッと見る。

大人しくヘルメットを被って、槙のバイクに座ってる。足をぶらぶらさせながら。


「ほらっ!何か最近一々可愛いんだって!どうしよう、俺重症かな!?」

ああいう姿を見ても、可愛いとしか思えなくなってきた。


「……………相当な。」

「だよな……」

「まぁいいや。美憂待ってるし、寒いから早く帰ろうぜ。」

「おう……」

異常なほどに跳ね上がる心臓を無理矢理沈めながら、美憂の方へ歩き出した。