「…何でもないよーっ」

「?変なの…」

不思議がりながらも、また前を向いて歩き出した。意外に肩幅広い。背も、あたしより高くて。

いつのまにこんなに男らしくなったんだろう。

新学期が始まったら、彼女作らない理由聞いてみよっかなー…

「美憂ー、寒いから早く帰ろうぜー」

一足先に、バイクの駐輪場に着いていた槙が叫んでる。

「はーい。」

小走りで槙の方へ向かうと、ヘルメットを投げられた。


「わっ…!」

「あぶねっ…!」

キャッチしようとして、石につまづいた。


―ゴンッ!

「いっ……てぇっ!!」

「あーあ……」

転けそうになったあたしを、受け止めた遼の頭にヘルメットが直撃。

槙は呆れた顔をして、笑ってる。

「あっ!!ご、ごめんねっ!?」

「だ、大丈夫でーす……」


涙目で言われても…

「な、泣かないでねっ?」

「泣かねぇよっ、痛いけど…」

「たんこぶとか出来てない…?ほんとにごめんねっ?」

「……大丈夫大丈夫。うん、大丈夫だからはなれてっ…」

自分の目元を隠して、あたしを押し返した。


「ガーン……」

やっぱり泣くぐらい痛かったのかな…?

「大丈夫。美憂、こいつはほっといていいから。ヘルメット被って。」

あたしの頭を撫でると、遼の方へ行って2人で話してる。


聞かない方が良さそうだな…

大人しくヘルメットを被って、バイクに乗った。