数分して、風磨が思いだしたように

「恋汰、そろそろ行くぞ。」

と言った。

「え、もうそんな時間かよ。」

「おう。」

「あ、そっか、白龍は大晦日に走るんだったよな。」

風磨と恋汰の会話に槙が入って、そう言った。

「おう。…じゃあ俺ら行くわ。またな。」

風磨、恋汰、実瑠ちゃんは、同じ方向へ歩き出す。恋汰と実瑠ちゃんの手はしっかり繋がれてて、風磨が少しだけかわいそうだった。


「大晦日まで走るって大変だよなー。」

「そうだね。」

遼が言ったことに返事をして、あたし達もまた歩き出した。


「これからどうする?」

「どうするって?」

「このままここにいても寒いだろー…」

「後5分ぐらいで年越すよ?」

遼と話しながら歩いていると、明るい、賑わった場所が見えてきた。

「とりあえずここで年越そうぜ、そっから大智の家でも行くか?」

「なんで俺ん家なんだよ。」

槙が言った言葉に、大ちゃんが心底嫌そうな顔をして。

「だって誰もいないのって大智の家ぐらいじゃん。」

遼も、槙の意見に賛成みたいだ。

「そうそう。それにさ、どうせお前1番に帰るだろ?」

「……………」

一度2人をチラッと見ると、あたしの腕を引き、再び歩き出した。


「「え、無視?」」

2人も後からついて来る。