「はーい……大ちゃん、何?」

「………いや、何でもねぇ。」


―ガチャ…

あたしの優しく頭を撫でると、立ち上がって出て行った。

―バタン…

大ちゃんの出て行ったドアを見つめる。

何を言おうとしたんだろ…?


数分すると、係りの人とお父さんが一緒に入ってきた。係りの人が説明をした後、言われた通りドアの前に立つ。


「緊張してるか?」

お父さんが前を向いたまま、あたしに問いかける。

「最初はしてたけど、もう大丈夫だよ。」

「そうか…」

お父さんが寂しげに俯いた。

「大ちゃんのおかげなんだけどね?」

「幸せそうで良かったよ。」

お父さんの腕を軽く掴んで、ドアが開くのを待った。