卒業式に遼が言ったことを、一つ一つゆっくりと話していく。

「あたしのことも大好きだけど、それと同じように……大ちゃんのことも大好きだって言ってた。」

言い終えると、大ちゃんは驚いた顔をする。

「幼なじみでもあるけど、親友でもあるって、遼言ってたよ。」

「……遼らしいよな。絶対俺に直接言わねぇんだもんな、あいつ。」

そう言いながらも、あたしから視線をずらした時に見えた耳が、赤くなっていた。


あ……、大ちゃん照れてる。

「ほんと、遼らしいね。」

話している内に、段々と緊張がほぐれてきた。


「で、お前緊張してたんじゃなかったっけ? 海斗からそう聞いたんだけど。」

またいつもの顔に戻って、あたしと目を会わせた。

「大ちゃんのおかげで緊張ほぐれちゃった」

「良かったな。」

「うん、ありがとね。」



「あのさ……」

―コンコン…

大ちゃんが何か言いかけたとき、ドアをノックする音が響いた。

「そろそろ時間だよ。」

ドア越しに、遼の声が聞こえた。