「美憂もね、綺麗になったよ。」

鏡越しに、フッと目が合った。

「ほんとにー? 化粧してるから、そう見えるだけなんじゃないの?」

「違うよ、今日も一段と綺麗だけど。やっぱり大智がいるからかな。」

それを言われて、やっぱり照れないわけはないから、頬が赤くなる。

「ウェディングドレスも、化粧も、すっげぇ似合ってる。」

顔をパタパタ仰いでいると、再び遼と目が合った。

優しく笑った遼。


「結婚おめでとう。」


その言葉を聞いたとき、涙が目に溜まっていった。

「うわっ、ちょっ、泣くなよ!?」

立ち上がって、焦りだした。

自分のせいで泣かせてしまったと思っているんだろう。

「泣かないよ!」

遼が本当に祝福してくれているのか、不安だった。

一度も「おめでとう」と言ってくれなかったから、喜んでくれてないのかと思った。

ほんとはずっと気になっていたけど、結局今日まで聞くことができなかったんだ。


「遼っ、一度も"おめでとう"って言ってくれなかったから…っ」

涙を零さないように、上を向いて喋る。