「あ、やっぱ緊張してんだ。」

海斗が「やっぱり」という顔で、あたしを見た。

図星だから何にも言えないけど…

「仕方ねぇなぁ…ちょっと待ってろ。 柚、一緒に来て。」

「あっ、うん。」

柚ちゃんの腕を引きながら、海斗は部屋から出て行った。


「あぁ…、そういうことか。」

遼が分かったように、頷いた。

「何かあるの?」

「まぁ楽しみにしとけよ、海斗なりに秘策があるんだと思うし。」

遼が笑った。


でも今までの笑顔とは違う。

大人っぽくなった?

「遼、何か顔変わった?」

「はぁ?何、それっ。俺整形とかしてねぇかんなっ!」

あ、やっぱり子供だ。

さっきの大人っぽい表情から、いつもの子供っぽい表情に戻った。

「そんなこと分かってるよー…、何かちょっと大人っぽくなったかなぁ、って思っただけ。」

そう言うと、少しキョトンとした顔を見せて、あたしの横にある椅子に座った。


「そう?」

「うんっ、変わった!何か男らしさがアップしたみたいだよっ!」

「そりゃあ、良かった。」

お互いに、鏡を見たまま話す。