「…俺はいーの!」

そう言って、眉間にしわを寄せた。

「人の話は最後まで聞きなさい、バカ美憂っ!」


ペチッと、軽い音がなった。

遼にデコピンをされたのだ。

「俺は美憂のこと、大大だーい好きだけど!」

それに続けて、いつもの笑顔で口を開いた。


あ……いつもの遼だ…

「それと同じように、幼なじみで、親友でもある大智のことも大好きなんだよ。」


本人がいるとこじゃ、絶対にそんなこと言わないくせに…

あたしに言うのは、何だか卑怯だ。

本人に言っちゃえばいいのに…


「だからっ、気持ち伝えられただけで十分!」

ニカッと、歯を見せて笑った遼。


ごめんね、遼。

あたしが困った顔なんかしたから、気を遣ってくれてるんだよね。

でも……大ちゃんを好きな気持ちは、変わらないよ。

この先一生ね。

遼の顔を再び見ると、スッキリしたような、男らしい顔になっていた。


「仕方ねぇから認めてやるよ!」

腕を組みながら上から目線で笑いながら言う遼。

その姿を見て、吹き出してしまった。


「大事な親友と、その彼女の結婚だもんなっ!俺が責任を持って、結婚を盛り上げてやるからさ! 楽しみにしとけよ!」

そう言って、これまでで1番、と言っていいくらいの笑顔を見せてくれた。

「じゃあ、よろしくお願いします!遼に司会は任せちゃうよ」

「任せとけっ!」

そう言った後、顔を見合わせて、みんながいる場所へ走り出した。