愛詩-アイウタ-



 電話の相手【まい】とは仲がいいようで、会話が弾んでいる。頼みごとした手前、自分から切れないのだと思う。


「うんうん。うち、ちっちゃいし、しょうがないかなぁ~うん、それじゃありがとうね~バイバーイ」


 ひとりかぁ。ゆみとふたりきりの予定だったけどみんなでやるって決めたし、この中からひとりってなんか悪いような気がする。


「みんな~」


 ゆみは小走りで来る。
 転びそうでなんだか怖い。


「ごめんねっひとりだったよ~」



「うん、聞こえてた聞こえてた!どうする?」


 美夜が答える。ちかは一瞬迷うような目付きをして言った。


「わたしはいいや!最初光璃だったし!!バイトがんばっ」


「じゃああたしもいい!光璃がんばれ~」


「いぃの!?ありがとう♪ゆみのバイト先って確かケーキ屋さんだったよね」


「そぅだよ!けど光璃忘れてない?…面接」


 そういえば、忘れてた。



 というより、思い出したくなかったのに。


「面接のコツは!?」


「笑顔?」