愛詩-アイウタ-

「もう風とかやだぁ!」


 ちかはぐしゃぐしゃになった髪をカバンの中からコームを出してとかす。


「ひぃは全然平気だったよ」


「いいなぁ~」


「日頃の行いがいいからかなっ」


「光璃が!?ないない」


 ゆみは手を振って完全否定。美夜とちかも同意のようだ。


 ひとり不服そうな光璃は、少しむくれる。


「ひぃ、割といい高校生だけどな」


「割とね」


「ゆみそれ嫌味~!?」


「まぁまぁ、気にしない」


「…いいけどねっ」


 このみんなが好き。


 この高校生活1年目で仲間になったのが正解だった。



 じゃあ何が失敗?


 失敗なんて、まだないと思っていた。


 ―その時は。