愛詩-アイウタ-

 得意分野!!…なはず。
 ふぅ、とため息をつく。


「まいちゃんに頼んでおいたから、明日には面接できるよ」


「早っ!がんばるけど」


 用事は済んだので、光璃達は帰る。19時30分。いつの間にかそんな時間になっていた。


 こんな時間からだったら出かけても時間がないだろうし、しょうがない。


 ゆっくり帰ってコンビニでも寄ろうかな。


「バイバイ!!」


 光璃は3人と方向が別のバスなので、あいさつをして別れる。



 ケーキ屋さん。


 幼稚園の時の定番の夢。


 かくいう光璃も、そう書いていた。周りは“クッキー屋さん”とか“お花屋さん”とか。


 あの頃はまだよかったんだと思う。非現実的な夢を書こうと、笑う人なんていなかった。



 逆にいえば、みんなそんなものだった。


 正義の味方とか書いてる人もいたっけ。


 ひぃは、何がしたいのかな。


 迷ってはいない。やりたいことがないのだから、ただ宙ぶらりんでいるだけだ。


 きっと、夢なんか見付からずにそのまま進んで、なんとなく就職するのだと思う。