鈍い音がした。



目を開けると、莉紗さんはその場に泣き崩れてた。



莉紗さんの震える手に握られていた包丁は、床へと転げ落ちた。



フローリングの床に涙がこぼれ落ちた。



「こ……んなこと……する……なんて――

私……どうかしてた」

大粒の涙が莉紗さんの頬を伝う。



「………」

俺は言葉を失う。



「もう、愛に付きまとったりしない…

迷惑もかけないから私を赦して」

泣きじゃくる莉紗さんの言葉は、本心のように思えた。