「こんなだったら…愛のことなんか好きになるんじゃなかった。

愛と出会わなきゃ良かったのに」

涙目の莉紗さんは俺に訴えかけてくる。



「手を伸ばせば届く距離にいるのに…遠すぎるよ」


痛々しい包帯の巻かれた手首…どれだけの痛みなんだろ?



俺は…莉紗さんを苦しめてばっかいる。



出会わなければ…良かったのか?



莉紗さんを守らなくちゃなんないのか?



今ひとりぼっちに
莉紗さんをして大丈夫なんだろうか?



「帰って…」

莉紗さんは背中を向けて言う。



力のない痩せた背中。



その背中を見ていて辛くなった。