「ごめん…」

ふいに、遥の体が俺から離れる。



「んで…何で離れんの」



「ごめん…

ごめん……こんなこと……」

うつむいて遥は言った。



顔にかかる髪の毛で表情がわかんない。



「こんなこと…」

遥はつぶやく。



俺は何でこんななんだろ…


何でこんなに無力なんだ。


この腕も…ほんとは大切な人を守れるはずなのに。




ほんとは大切な人を抱き締めて、

幸せな気持ちでいっぱいになれるはずなのに。



今…

俺達はー抱き合うほどに苦しくて…


暗闇の中にいる―それを感じずにはいられない。