「待って!!」

俺は叫んだ。



遥はもう遠い存在なんだけど。



「俺がここからいなくなるから。

遥がここにいて」



「いいよ…愛がここにいて」



「遥の邪魔したくないから」



遥の絵が好きだから。



たくさん描いて欲しい。



一枚でも多く。



その為なら俺は消える―




俺は遥に微笑んで立ち去ろうと歩き出す。



ほぼ治りかかった唇が痛んだ。



胸も打撲のせいじゃないんだろうけど痛む。



もっと心の奥底にある痛み。