街灯の光の中へと遥は歩いていく。 振り返ることなく。 俺は涙がこぼれないように、上を向く。 遥の姿が曲がり角で消えて… 俺も反対の方向へと歩き出す。 白い息を冷たくなってく手に吐く。 こんなんで、さっきまでの温もりは取り戻せない。 右手の力が抜けたせいか、寒さのせいか痛む。 その時―後ろから誰かが走ってくる足音がした。 邪魔にならないように、俺はなるべく道路の端によけた。