「愛…」

遥の呼ぶ声――

こんな幸せな一瞬がある…この瞬間を忘れない

見つめ合える喜びも。



「愛してる」

震える唇で、白い息を吐き出し俺は言った。



この息と共に、言葉も消える。



風化するんだ…
なんて儚いんだろ。



一瞬で消えてく。



けど俺の記憶にはきっとずっと残り続ける。



遥の記憶には残らなくても。



今の精一杯の気持ち。



遥以外にこの言葉を伝えることはもうないだろう。