そのため、ここは寮の中の俺の自室である事は当たり前なのだが……。


何故ティアがここに?


「あのね、ライトに合わせたい人がいるの!ロビーで待ってるから!」


――バタンッ


扉くらい静かに閉めろよ……。


まぁ別に気にしてないけど…。


ティアは俺に一言、そう言うと部屋から出て行った。


俺は念のため、ここに来る前にリオから貰った炎の力を宿したペンダントになっている魔晶石をローブの内ポケットに入れておいた。


こう言う風に、魔晶石に攻撃系の力を込めて、ペンダントにしてあるのは少し珍しい。


普通は回復系が主流だ。


俺は部屋を出て、ワープパネルへと向かった。


ワープパネルの使い方。

それはごく簡単なものだ。


ただワープパネルに乗って壁にある“瞬間移動”の魔晶石に手をかざし、行きたい所を思い浮かべるだけ。


《1階ロビー……。》


目を閉じ、きらびやかなロビーを頭の中で思い浮かべる。


すると、俺の周りで小さなつむじ風が起きる。


それは次第に大きくなり、俺を包み込んだかと思うと、フッと消えた。


目を開けなくてもわかる。


明らかに周りの空気が変わった。


「ライト!」


遠くの方でティアに呼ばれる。


目を開ければ、ロビーの中央にあるソファーにティアともう二人。


よく似た赤毛の、ティアと同い年くらいの少女が座っていた。


それが、ナナリーさんとアミさんだった。