「なに?」
リビングの窓から入る風にカーテンが音をたてて揺れている。
「あーっ!花遥!お母さんね、今からちょっと出掛けなきゃいけないのよ!だからこれ、陽くん家届けてちょうだい!」
「じゃあね!」とあたしの了解も聞かずにお母さんはリビングのドアを勢いおく閉めた。
「なに、あの強引さ…。本当に有り得ない…。」
あたしはまた溜息をつき机の上にあった、分厚い本を見つめる。
あぁ…。
これなんか、陽のお母さんに借りたって言ってたな…。
……めんどくさ。
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