二人で缶ジュースを飲みながら、ケーキを食べた。



驚くべきことに、あれだけ振りまわしたのにケーキは無事だった。



「公子さん、ケーキ焼いて持ってきそうだね。」



最後の一口を頬張りながら、私は言った。



すると拓都はあからさまにげんなりした顔をする。



「持って帰らせるぞ。
俺はそんな甘党じゃない。」


「悲しむよ?」


「じゃあ、お前食う?」


「……いんない。」



いくらケーキ好きでも、1ホール追加はきつい。



「もうすぐ年明けだね。」



唐突に、私は話題を変えた。



そうだな、と拓都は近くにあったカレンダーを見る。



駅伝、と口が動いたのが見えた。



「応援、行く?」



行きたくないかな、と思いながらきいてみる。



案外あっさりと拓都は頷いた。



「行く。」


「じゃあ、車椅子押したげるよ。」


「……なんか同じ学校の奴らに見られたらいやだな。」


「何よ、どういう意味よ。」



わざと膨れて見せる。



予想通り、拓都は慌てた。