【短編】Christmas Present

「悪い、今日は帰ってくれ。」


「…どういうことなのか、今度聞かせてもらうからね。」



彼女は私達双方を睨みつけ、言った。



そして、私よりも格段に高いヒールの音を響かせて去っていく。



重い沈黙がのしかかる。



同室のみんなは他愛のない話を続行しているけど、耳だけはこっちに向けているはずだ。



「手伝え。」



はいはい、と私は身体を支えてやる。



拓都は片方の足で危なげなく立つと、ゆっくりベッドに腰をおろした。



「なんで来なかった?」


「なんでって。
拓都がもう来なくていいって言ったからでしょ。」



まさか、言った事忘れてるとかないよね。



大丈夫そう。



なぜなら拓都が顔を歪めたからだ。



「嗄雪があんなこと言うから。」


「拓都があんなこと言うから。」



元はといえば、拓都が言った「お前は俺のなんなんだよ」が原因だ。



首を傾げる拓都に、声色まで真似て言ってやった。



「どーせ私は幼馴染ですよ。」



そっぽを向きながら、言う。



「悪かった」と拓都は小さな声で謝った。



まあ珍しい。



明日は真夏日だな。