様々な曲調に編曲されたジングルベルが、街中を彷徨う。



私はお見舞いの品をスーパーで選びながら、聞くともなしに耳を傾けていた。



人気スナックよりもチョコのほうが季節にあっている気がして、私は片手に持っていた袋を棚に戻す。



スナックは他の種類のも買ったので、文句は言わないだろう。



つい昨日、お母さんと一緒に拓都の病室を訪れたばかりだった私は、しかし今日も覗いてみることにした。



三日続けて通っていることになる。



普段でもこんなに頻繁に会ったりはしないのに。



こういう時だから、よく会えると言った方が正しいかもしれない。



いつもは生活があまりにも違いすぎるから。



それに、理由のひとつに、見舞客がいないというのもあった。



拓都はごく仲のいい友達にしか入院先を教えなかったらしいが、それにしても一度も面会がないというのは寂しい。



一度さり気なく本人に聞いてみたところ、駅伝に向けての練習が厳しいとのことだった。



確かに。



拓都たち駅伝チームは拓都が脚を折る数日前に全校生徒の前で抱負を語ったばかりだったのだ。



その矢先の事故。



それ故にショックも大きいだろう。



寂しいはずなのに、事情をしっかりわかっている拓都はメールすらしていないらしい。



練習後に気を使わせるのは悪いからと。



それでも何件かはメールがきたと、隠してはいたが嬉しそうだった。



だからせめて、私が気休めになればいい。



まだ拓都は自分のベッドに引きこもっていて、同室の少年達と打ち解けていない。



同年代なのだが、まだそういう気分ではないらしい。