「……おい…泣くな…」


珪さまが泣きじゃくる私に胸元のハンカチーフを差し出した。


「…濠に命令して家具を戻させる…」


珪さまの声音が急に優しくなった。


冷血だけど…女の涙には弱いらしい…。


私は珪さまの差し出したハンカチで涙を拭く。


涙とともにアイラインの黒がハンカチに付着。