「私…柚になりたかったな」
「何言ってんのー?美和は美和じゃんっ」
弱々しく言うと柚がバシバシ背中を叩いてきた。
「それを言うならあたしだって美和になりたかったよ」
可愛いし頭いいしオシャレだし、とどんどん美化された私をあげていく柚に自然と笑いが零れた。
「やっぱり、柚になりたいな」
すると、何処からか声が聞こえた。
「やめときな美和ちゃん。柚希になったって良いことなんかこれっぽっちもないよ?」
「陽呂くんっ」
背後から突然現れた陽呂くんにビックリした。
「コイツ、口悪いし馬鹿だし殴るし蹴るし…付き合ってるのも一苦労だよ。めんどくさいったらありゃしない」
「その面倒臭い女と5年も付き合ってるのは何処の誰かしらっ!」
「いてっ…いてーよ!!馬鹿柚希っ!!」
陽呂くんの頬を怒りながら抓る柚。
仲が悪そうで実は良い柚たちは本当に羨ましかった。
だから柚になりたいと思う。

