「あっ…俺、先生に呼び出しされてたんだわ。サークルにも顔出せって言われてたっけ……。先行ってるぞ、陽呂」
苦笑いをして時間を見にがら慌ただしく図書館を出た祐輔を見届けた。
「あいつは忙しい奴だな」
「…ほら、人気者だから」
「いや、ただ単に要領が悪いだけだろ」
陽呂くんと話をしていると約一名、膨れっ面を見せて隅で立っている女子がいる。
紛れも無い、柚なんだけど…。
「あたしの美和と喋らないでくれる?」
「いつお前の美和ちゃんになったよ」
「うるさいなっ」
あぁ……挟まれた。
このカップルの痴話喧嘩に何度巻き込まれたことか。
一人どうしようもなく突っ立って二人の喧嘩が終わるのを待つことにした。
今日はどのくらい掛かるんだろう。
授業はないけど早く帰りたいんだよね。

