そのメールはたった一度きりだった。
あの日、何て言ったらいいのかわからなくて、どうしたらいいのかわからなくて。
悩んで、迷って、混乱して。
結局、返事を返さず過ぎたバレンタイン。
覚悟はしてたの。
祐輔とは元の関係には戻れないと。
でも違った。
ぎくしゃくしてたのは、私の方。
距離を置いたのも、私の方。
祐輔は何一つ変わらずにいたのに、関係を壊したのは私だった。
それを私は、全て祐輔のメールの所為にしてたんだ。
「祐輔」
「んー?」
「…やっぱり、今日行かな…」
「駄目」
――――祐輔は
「逃げるな」
「……っ……」
「絶対に逃げるな。逃がさないから」
――――いつまでも傍にいてくれてたのにね。
どんなに突き放しても、離れなかったのにね。

