自分で言って、旬の顔がどんどん犬らしく思えてくる。というか、旬はもともとが犬っぽい顔をしていたかもしれない。


「血統書ねぇ。彼氏君って浪人生?」


「ううん。現役で大学受験したけど、滑り止めも全部落ちて…でももう大学には行かないで働くって。…まあ、まだ就職できてなくてバイトだけだけど」


 言ってしまえば……すなわち旬はお金も地位も名誉も…良くも悪くもない公立高卒で学歴すらない。

 思えば思うほど、旬がダメ男に思えてくる。


「あ、ごめん」


 ポケットの中の携帯がバイブの振動をし始めて、奈津美はそれを取り出した。

 メールがきている。携帯を開いて操作し、開いてみると、旬からだった。


『ナツ~★☆★
今昼休み?俺は今からバイト↓
朝はホントごめんな?
サンドイッチめちゃくちゃウマかったよ!さすがナツだな♪ありがとな!』


 サンドイッチ一つで、ベタ誉めだ。それにしても、やっぱり、まだ怒ってると思われてるのだろうか…


『どういたしまして☆
朝のことは本当にもう怒ってないよ
バイト頑張ってね。ちゃんとしてくるんだよ?』


 手早くそう打って、可愛い絵文字もふんだんに使って、すぐに返信した。