「あのオッパイ星人、昔からそこしか見てねえよな。付き合う子みんな胸でかかったし」

 呆れたような声で言われている。


『オッパイ星人』

 旬に対してその表現は、妙にしっくりきた。もし旬が彼氏じゃなければ、笑える。現に目の前ではカオルが笑っている。


「でも今回はすっげーその彼女のこと絶賛してたぞ。『あのオッパイはマジですごいって! 神様の芸術品…いや、つうか、あれ自体が神様……オッパイの神様そのものだって!』って意味の分からんことをかなり興奮して熱弁してたから」

 この彼の口調も、呆れていた。


 それを聞いた奈津美とカオルは顔が真っ赤になっていた。

 奈津美は恥ずかしさと旬への怒りからだったが、カオルのは声に出して思い切り笑いたいのを堪えているためだ。


「オ、オッパイの神様……ぷふっ……やっぱり奈津美の彼氏君、最高。お、面白すぎ……くっ」

 カオルは必死に笑いを堪えて涙目になりながら奈津美を見る。


「カオル……」

 奈津美は恨みがましくカオルのことを軽く睨んだ。


「ご…ごめんって……」

 カオルはそう謝るが相当ツボに入ったらしく、それも堪えようとすることで逆にひどくなっている。


「顔見てみたいな、その彼女」

「写メとか見たか?」

「いや、撮ろうとすると嫌がるからないってさ」


 拒否してよかった…と、奈津美は心から思った。実はこんなにすぐ隣にいるなんて、写メを見られていたらすぐにバレていたかもしれない。


「でもかなり美人で可愛いって。あいつ、本っ当デレデレしながら彼女のこと話しててさ、料理できるし掃除できるし洗濯できるし、あんなにいい彼女他にはいないって嬉しそうにノロけてた」


 その言葉は、奈津美には純粋に嬉しかった。顔は赤いままだったけれど、それは恥ずかしいというより、照れ臭い感じだ。