「あ、今日のナツ、パンツ黒~♪」

 旬がいつの間にか寝転がる向きを変えて奈津美のすぐ後ろからスカートの中を覗いていた。


「やだっ……ちょっと、もうっ! 旬!」

 奈津美はスカートを押さえて旬から離れた。


「ナツってばやらしー。あ、そのパンツって俺のため?」

 ケラケラと笑いながら旬は奈津美に言った。


「知らない!」

 顔が赤くなっているのを隠すため、奈津美は旬に背中を向けて再びゴミを拾う。


「ナッちゃ~ん」

 いきなり旬が後ろから抱きついてきた。


「きゃっ…!? 何、旬!」

 奈津美は驚いて声をあげた。


「しよ?」

 甘えた声で、可愛く旬は言った。

 もちろん、旬が言っていることは、その言い方とは正反対の、男と女の淫らな行為のことだ。


「えっ……」

 そのことを分かっているため、奈津美は戸惑った。


「き…今日は会うだけでしょっ! 明日、会社だってあるんだし…」

 次の日が休日の時は、そのまま泊まっていくことができるので許せるが、今日は平日。そういうわけにはいかない。それに今日来たのだって、昼間に旬から


『今日会いたい。会えない?』

 と、メールがきて、少し悩んだ結果、


『ちょっとだけなら…会うだけね?』

 という約束でだ。そういうつもりは全くない。


「旬っ…放して。今、掃除してるんだから」

 耳元に旬の少し酒気の帯びた熱い吐息を受け、必死に流されまいと、旬の腕を解こうとする。


「ナツのパンツ見たら発情しちった」

 旬はそう言って更に体をくっつけてきた。


「一回だけ……」


「ダメだってば……あっ」

 首筋に口付けられ、手が胸の膨らみをしっかりと掴み、奈津美は意識に反して甘い吐息を漏らしてしまった。

「ナツ……」

 男らしく囁かれ、次の瞬間には旬の唇に奈津美の唇が塞がれてしまった。

 それからは、主導権を旬に握られ、奈津美はただそれに従ってしまった。