前に泣いたのは、土方さんに此処を出てけと言われたとき
あの時、いつまでも泣いていた私に土方さんは「煩い」って言ったけど今日はそんなこと言わなかった
「もう大丈夫です…。」
泣いていた間、土方さんは私を抱きしめていてくれた
だから、土方さんの着流しに丸い涙の染みができていた
「濡らしてしまって、すいません。」
「別にいい。」
ぶっきらぼうな言い方にも優しさがこもってるような気がした
「しかし、お前のせいで俺は夕餉を食い逃しちまったがな。」
「えっ!!」
辺りを見渡すと、赤みを帯びていた中庭は、薄暗い夕闇に包まれていた
「ご、ごめんなさい!!!」
「別に構わねえよ。だから、お前が何かこしらえてくれると嬉しいんだか?」
「わかりました!作ります!!」
父様と母様をなくした悲しみは大きいけど、いつまでもうじうじしていられない

