僕は君にそんな顔をしてほしいわけじゃないのに…
ただ僕の名前を呼んで笑ってほしいんだ
僕は無意識のうちに桜子ちゃんに手を伸ばしていた
何の抵抗もない桜子ちゃんを腕の中に引き入れる
「え…?沖田さん?」
「そんな顔しないで。僕は笑ってる君の方が好きだよ?」
「え…!」
そう言うと少しだけ頬を染めて困った顔をした
僕が見たいのはその顔でもないのに…
僕の気持ちは桜子ちゃんを困らせてしまうだけなんだ
「何て顔してるのさ?」
「ふぇ!」
固い表情の桜子ちゃんの片方の頬を引っ張った
「冗談だよ?」
「もうっ…意地悪ですね」
「あはは、笑った」
「え?」
「ううん、こっちの話」
僕が見たかったのは君のその顔だよ?
でもそれは僕の言葉が"冗談"として受け入れられたから
"本気だ"って言ったら君はさっきよりも困った顔をするよね

