【短編】年下彼氏。




急になんか遥に対して申し訳なくなってきちゃった。

なんか恥ずかしいし。





「遥、あたし……あだっ」


「ばーか。こんなんだから好きなんだよ」





つままれた頬が熱い。

胸の奥が熱い。





「こんな顔する遥、初めて見た…」




あたし、知らないよ。

遥は小さい頃からずっと一緒で、なんでも知ってると思ってた。

なのに今、目の前にいる男の子は、弟みたいな遥じゃない。
いつものように愚痴を聞いてるオヤジ仲間みたいな遥じゃない。


 あたしは遥のどこを見ていたのかな…


遥がこんなに大人な顔をするなんて。
遥がこんなに男子なんだって。

あたし…知らなかったよ。





「ほんと鈍感。誰がこんな顔させてると思ってんだよ」

「へ…?」


「はぁー…鈍いにも限度ってもんがあんだろ…。先輩だよ?美沙にしかこんな顔しねーから」






…やばい。なんだこれ。

心臓がうるさい。


遥にまで聞こえてしまいそうで、恥ずかしくて、距離をおいた。

…それも、遥のせいで無意味に変わったけど。