授業もかったるく感じる中学二年の秋。 俺は数学と国語と地理は出ないと決めていた。 出ないということは教室にいないっていうわけで、ブラブラとくつろげる場所を探す毎日だった。 屋上、体育倉庫、裏庭、非常階段。 すでにどの場所も飽きた。 いっそ帰ろうかと考えたとき、理科室の備品倉庫を思い出した。 あそこなら煙草を吸っても薬の匂いに紛れるだろうと、当時の馬鹿な俺は勝手に納得していた。 しかし備品倉庫へ行くにはまず理科室に入らなければならない。 俺は鍵が開いていることを祈った。