柚野さんは呆れたように笑うと聖に向き直った。 「では、これから社長に入っていただきます」 「了解」 聖はネクタイを整えると顔を引き締めた。 「あぁ、そうでした。明様にはお礼を申し上げなくては」 「お礼?あたし何も……」 「明様、というよりはお父様ですね」 「お父さん!?」 実家にはつい最近帰ったけど……何か柚野さんのためになることしたっけ? 「社長が遅れたため、急遽代理で乾杯のご挨拶をしていただきました」 えぇ!? 急遽って、そんな素早く駆けつけられたの!?